米朝密約 2017 12 10
書名 米朝密約 なぜいま憲法改正、核装備か
著者 日高 義樹 徳間書店
私は、2017年8月12日に、
北朝鮮の核開発は、「中国モデル」ではないかと書きました。
(以下の「歴史は繰り返す 2017 8 12」を参照)
1960年代の中国は貧しく、
人民は飢えに苦しんでいました。
にもかかわらず、毛沢東は核兵器開発を断行しました。
その後、ケ小平は、
「改革開放」路線を主導して、
中国発展の原動力となりましたと書きました。
「米朝密約」という本では、
著者は、このように書いています。
大量のミサイルを北朝鮮に打ち込んでも、
北朝鮮は大混乱になるだけで、
金正恩政権は続くだろうと書いています。
政権を倒すには、
イラク戦争と同じように、
ミサイルを打ち込んだ後、
地上軍を派遣する必要がある。
予備役の招集も必要になる。
しかし、今のアメリカには、
北朝鮮に地上軍を派遣する余裕はない。
そこで、アメリカが、
実質的に北朝鮮を核兵器保有国と認めることによって、
アメリカと北朝鮮は、
相互に大陸間弾道弾で牽制するということで「軍事的均衡」を保つ。
こうなると、危機に陥るのが、
日本と韓国でしょう。
しかし、日本も韓国も、
核武装すれば、核兵器保有国となった北朝鮮に対して、
均衡を保つことができます。
長期的に見れば、
これで、アメリカは、韓国から、
米軍を撤退させることができます。
もしかすると、在日米軍の撤退もあるかもしれません。
アメリカは、イラク戦争とアフガニスタン戦争で、
多数の戦死者を出しました。
もはや、アメリカの世論は、地上軍の派遣を認めないでしょう。
以上は、インテリの思考方法なので、
「直感政治家」のトランプ氏は、別のことを考えるかもしれません。
あるいは、トランプ氏は実業家なので、損得勘定で考えるかもしれません。
直感か、損得勘定か。
歴史は繰り返す 2017 8 12
アメリカ国内では、核ミサイル開発を続ける北朝鮮に対して、
主戦論が高まりつつありますが、
双方に思い違いがあるかもしれません。
アメリカでは、北朝鮮が、
アメリカ本土を射程内に収める大陸間弾道弾を完成させる前に、
予防的な戦争を検討すべきであるという意見が高まりつつあります。
一方、北朝鮮としては、
「中国モデル」を実践しているだけだという思いがあるでしょう。
2017年8月11日の東洋経済ONLINEでは、このような記事がありました。
国際ジャーナリストの高橋浩祐氏の記事です。
現在の北朝鮮は、1960年代の中国と似通っている。
当時の中国も、米ソ冷戦のはざまで、一心不乱に核ミサイル開発に邁進していた。
2004年に解禁されたCIAの秘密文書では、
1960年代の中国の核兵器開発が、アメリカ側の予測をはるかに上回る速度で進められ、
アメリカ側を驚かせていたことが明らかになっている。
国際ジャーナリストの古森義久氏は、
2004年10月25日付の産経新聞の記事の中で、
「中国としては、核兵器でアメリカ本土の一部やアジアのアメリカ軍拠点を攻撃できるようにしてあった方が、
アジアでのアメリカ軍の行動を抑止できるとの判断がある」と書いた。
上記の中国の状況は、今の北朝鮮と同じ状況ではないか。
現在の北朝鮮の主眼も、アメリカの軍事介入を阻止するため、
ワシントンやニューヨークに対して攻撃可能のICBMを必死に開発している。
だからこそ、北朝鮮情勢をめぐる緊張は、
たとえ米朝が直接交渉に乗り出しても続く。
なぜなら、北朝鮮には核ミサイル開発の凍結や放棄は選択肢としてありえないからだ。
アメリカが、いかに軍事的な圧力をかけようとも北朝鮮は屈しない。
1960年代の中国と同じだ。
(引用、以上)
確かに、1960年代の中国は貧しく、
人民は飢えに苦しんでいました。
にもかかわらず、毛沢東は核兵器開発を断行しました。
その後、ケ小平は、
「改革開放」路線を主導して、
中国発展の原動力となりました。
北朝鮮も、途中まで、中国と同じ道を歩むのでしょうが、
はたして、北朝鮮には、「ケ小平」が現れるでしょうか。